京都中心部から北に1時間ほどの山中にある「丹波マンガン記念館」。その敷地に韓国側が「強制徴用労働者像」と呼ぶ像が設置されたのは昨年8月のことである。この「徴用工像」をつくったのはキム・ウンソン氏とキム・ソギョン氏夫妻。世界各地で設置の動きが進む慰安婦像の製作者である。
徴用工像にはすでに、ソウル市内のターミナル駅の1つである龍山駅前に設置する計画もあり、第二の慰安婦像問題となる懸念もある。この計画を試みたのは、「強制徴用労働者増建設推進委員会」。その中心をなすのは、韓国の二大労働組合である民主労総と韓国労総だ。ジャーナリスト・竹中明洋氏がレポートする。
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私が市内中心部から近い民主労総の本部を訪ねたのは、韓国の憲法裁判所が朴槿恵大統領の弾劾を認める判決を下した3月10日と重なった。弾劾賛成・反対双方の市民や警備にあたる警察部隊で市内が騒然としていた。幹部らの多くが出払うなか、応対したのは民主労総の嚴美京(オム・ミキョン)統一局長だ。
「日本の植民地時代の歴史には事実が解明されないままとなっているものがあります。強制徴用の問題はその1つ。この問題の清算のために、私たちは韓日両国の共同調査と日本による真心のある謝罪、そして被害者がその経験を話すことができる機会を求めています。だから、私たちは京都に続きソウルでも像の設置の動きを進めています」
龍山駅を選んだのは、この駅から大勢の徴用工が各地に移送された象徴的な場所だからという。だが、そうは言っても、設置は政府に許可されなかったではないか。