〈安倍一強〉安倍政権は、しばしば朝日新聞などにそう批判される。だが、それは本当に国民にとって悪いことなのか。ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「ためにする批判だ」と指摘する。
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言うまでもなく民主主義を支える根幹に言論の自由、報道の自由があります。メディアが時の政権を監視し、必要とあれば批判するのは当然です。むしろメディアには政府に対する“チェック機能”の役目が期待されています。ただしそうした報道や批判は、あくまでも事実に基づいていなければなりません。
ところが朝日新聞などの安倍批判は往々にして「ためにする批判」でしかないと思います。一例が今年1月22日付の社説です。朝日新聞は安倍首相の施政方針演説についてこう書きました。
〈「意見の違いはあっても、真摯かつ建設的な議論をたたかわせ、結果を出していこう」首相は演説で、民進党など野党にそう呼びかけた。だが先の臨時国会での安倍政権のふるまいは違った。(中略)与党は採決強行を繰り返した〉〈数の力で自らの案を押し通すやり方を「建設的」とは言わない〉
これだけを読むと、安倍政権がいかにも“独善的”だというふうに見えます。しかし、野党のふるまいはどうだったでしょうか。例えば安保法制の議論では、民進党をはじめとする野党の議員は、国会を出てデモの列に加わりました。野党の議員たちは、「建設的な議論」どころか立法府の役割を放棄したのです。
また、〈数の力〉を否定することは多数決の否定であり、これでは民主主義は成り立ちません。