21世紀の今は、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などによる「第4次産業革命」の時代であると言われている。そこで成功をおさめ拡大を続けるのはどんな企業なのか。経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。
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中国EC最大手のアリババグループが運営する越境ECサイト「天猫国際(Tモールグローバル)」は、昨年11月11日に実施した「独身の日セール」の取引額が1日で実に約1兆8700億円にも達したが、その中の越境ECの範疇で大きな話題を集めたのが、美容フェイスマスクを専門に扱う化粧品会社のクオリティファーストだ。
社員5人で年商約40億円。そのうち、ほぼ半分が中国での売り上げだ。日本国内での商品体験会に在日中国人を招待したり、中国のタレントやスポーツ選手などに商品を提供したりしてSNSやブログで拡散してもらうという戦術によって、昨年の「独身の日セール」の部門別売り上げで同社の商品が1位を獲得し、化粧品カテゴリー全体でも4位になったのである。
さらに、日本唯一のユニコーン企業(推定時価総額1000億円以上)と言われているのが2013年創業のメルカリだ。フリマアプリ「メルカリ」の運営会社で、スマホで売りたい物の写真を撮って特徴を入力するだけで簡単に出品できる。お金のやりとりはメルカリが仲介し、購入者が届いた商品に納得したら出品者に代金が振り込まれるという安心・安全なエスクローを介した売買システムを採用した。それがユーザーに支持されてアプリのダウンロード数は6000万を突破し、そのうち3分の1はアメリカが占めている。