大学の公開講座は、30年ほど前から社会貢献や認知を広める目的で始まったが、年々実施する大学が増えている。
その理由を、各大学の公開講座を掲載するサイト『公開講座.com』の担当・谷明展さんは、大学をめぐる環境の変化にある、と語る。
「大学の主な収入源は、学生の授業料です。ところが、少子化が進む現在、新たな収入源の確保も重要な課題の1つになっています。そこで、趣味に時間を使うことの多いシニア層や、キャリアアップのため資格取得を目指す社会人が増えたことに注目し、学生以外を対象にした講座を開く大学が増えています。講座内容も多様化し、今後ますます大学は、生涯学べるオープンな場になっていくと思います」(谷さん、以下「」内同)
講座の内容は、その大学の学部にちなんだものが多いが、単発のものから、10回以上に及ぶものまでさまざま。中でも人気なのは、外に出て学ぶフィールドワーク系と、料理や運動などの体験系だ。
「以前から人気のある歴史講座は、最近は座学だけでなく、関係のある場所に出かけて学ぶ機会も増え、料理講座では調理はもちろん、歴史や栄養学も併せて学べる講座が増えています」
各大学、講座にはさまざまな工夫を凝らしているようだ。
人気の科学系では、生命の仕組みを解説しながら“終活”に結びつける講座があるなど、科学と身近なテーマを結びつける工夫も見られる。地方の大学では、地元ゆかりの和菓子職人や音楽家を招いて、地域との交流を後押しする取り組みも行われている。そんな中、自宅から遠方の大学の公開講座を受ける人も増えている、と言うのは、体験型公開講座に定評のある東京農業大学エクステンションセンターの鈴木加奈子さん。
「大学などで上京しているお子さんに会う予定や、旅行に合わせて、遠方から講座を受けるかたも増えています。講座で仲間ができて、一緒にほかの講座も受けるなど、みなさんバイタリティーにあふれていますよ」(鈴木さん)
多くの大学で、受講のためのテストはない。興味のある講座を見つけて挑戦を! 以下、公開講座に関する疑問について解説する。