打者としても超一級品の大谷翔平
来季にはメジャー移籍確実と言われている日本ハム・大谷翔平(22)。この男、やはり只者じゃない。「投手・大谷」は開幕に間に合わなかったが、DHで出場する「打者・大谷」もこれ以上ない活躍を見せた。
西武との開幕3連戦では12打数8安打、毎試合の複数安打をマーク。3戦目の1号ホームランは流し打ちで左中間スタンドへ、5戦目には2号をライナーでライトスタンドへ放り込んだ。
広角に打ち分け、飛距離もある。残念ながら、9日に太もも肉離れのため、出場選手登録を外れたが、その打撃センスには、球界OBたちも舌を巻く。野球評論家の広澤克実氏は、打者・大谷に脱帽する。
「彼のバッティングの特徴は、『強さ』とともに『柔らかさ』も兼ね備えていること。強さとは長打力ですが、柔らかさとは上半身と下半身の捻れの大きさのことです。これは天性のもので、トレーニングではなかなか身につきません」
昨年までの大谷の通算長打率(安打に占める二塁打以上の割合)は、4割9分1厘(パ・リーグ平均は3割7分5厘)。日本ハムの主砲・中田翔(27)の数字(4割4分8厘)をも上回る。
「大谷の持つ『柔らかさ』は、広角に打つバッティングに繋がっています。ボールをギリギリまで引きつけて打つためには、下半身を回す一方で、上半身は開かずにボールの軌道と平行に保たなければならない。大谷は、この“捻転差”が大きいので、球を引きつけて、逆方向に強い打球が飛ばせるんです」(同前)
広澤氏によれば、この「強さと柔らかさ」を備えたバッティングをしていたのは、2012年の阿部慎之助(38、巨人)だという。この年の阿部は打率3割4分0厘、104打点の成績を残し、首位打者と打点王の二冠を獲得。本塁打も、首位のバレンティン(32、ヤクルト)に4本差の27本。まさに三冠王クラスのスイングということだ。