安倍政権での大臣就任を頑なに固辞し、自民党農林部会長として“ぞうきん掛け”の政治修行中だった小泉進次郎氏がいきなり金ピカの「看板政策」を打ちあげた。それも修行中の農業政策ではない。
サラリーマンと企業(事業主)が負担する社会保険料に新たな掛け金を上乗せし、保育や幼児教育の財源に充てる「こども保険」の創設だ。
安倍政権では教育無償化のためのもうひとつの財源案として教育国債発行が浮上しているが、進次郎氏はこちらについては、「将来にこれ以上ツケを回さず、次世代に必要なことをやるべきだ」と真っ向から反対した。
しかし、よく考えると、教育無償化の財源を国債で賄っても、その子供たちが成長してから国債を返済するのだから将来世代へのツケ回しにはならない。
「東京五輪後に日本は真の危機を迎える」──と若い世代の負担増に危機を呼び掛ける進次郎氏の視点に立てば、むしろ、すでに重い負担を負っている現役世代の社会保険料をこれ以上増やす方が矛盾ではないかという疑問も浮かぶ。経済評論家の山崎元氏は、「こども保険」構想の背後に財務省や厚労省の影がちらつくと指摘する。
「進次郎氏の『将来世代にツケを回さない』という発想は財務省の論理で、教育財源を国債ではなく社会保険で賄うというのは財政再建論が根底にある。
しかし、そもそも教育財源に社会保険はそぐわない。国民から新たな保険料を徴収して基金をつくれば、厚労省などに基金を管理する部署や人員が必要になり、官僚組織の肥大化を招く。文科省も教育はうちの所管だと主張して役所の権益争いも起きるでしょう。『こども保険』創設で本当に喜ぶのは教育に税金や国債を使いたくない財務省や利権を増やせる厚労省、文科省の役人たちなんです」