韓国国内のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を契機に中国国内でも深刻化する”韓国イジメ”。飲食店のなかには明確に「韓国人拒否」をうたう店もあらわれている。ロッテグループが展開するディスカウントストア・ロッテマートは閑散としており、3月中旬までに半数の55店舗が営業停止に追い込まれた。当局から「不当な価格設定」を理由に行政処分を受けたり、「消防設備の不備」を指摘されたりした店舗もある。ジャーナリスト・北嶋隆氏がレポートする。
* * *
韓国バッシングは、都市部よりも地方のほうが過熱する傾向がある。3月初旬には、河南省新鄭市のショッピングビルを舞台に300人規模の「反ロッテ」デモが行われた。群衆は巨大な五星紅旗をはためかせながら国歌を熱唱。重機でロッテ製品を破壊するパフォーマンスまで行った。もはや暴動である。
デモが起きたショッピングビルを訪れると、店頭の張り紙にこう書かれていた。
〈THAAD事件によって、中国人民の利益と感情が深刻に傷つけられています。当店は、すべてのロッテ製品を撤去します〉
ところが、このビルの2階では“韓国風”雑貨を扱う店舗が今も堂々と営業を続けていた。大丈夫なのか? 店内を覗くと、大きな注意書きが目に飛び込む。
〈韓流尚品(店舗名)の商品は世界の流行を取り入れた中国製品であり、もともとメイドインチャイナです〉
たとえパッケージがハングルでも「中身はれっきとした中国製だから早とちりして襲わないように」ということらしい。結局この人たちは韓国のことが好きなのか嫌いなのか。謎である。
それはさておき、中国に住む韓国人の不安をさらに煽っているのが、日々、ネットに投稿される過激な動画や画像の数々だ。