アダルトグッズとは別に、性の“歴史展示”もある。ガラスケースの向こうには太古の遺跡から発掘されたらしい石像や彫像が並んでいる。男女が交わる様を象った石像には「最古の秘密の戯れの像(紀元前3500年)」と書かれたプレートが添えられている。真偽のほどは定かではない。
セレブ向けには(豪華ではあるが実用性が低そうな)オープンカーを模したベッドや、オーダーメイドのアダルトマシンなどもある。その他、なぜか映画「ランボー」のシルベスター・スタローンが箱に描かれた精力薬まで。
イベントステージでは、顔よりも大きな巨大サングラスに天使の翼を身につけた中国人キャンペーンガールがやる気なさそうに闊歩する。突っ込みどころ満載の、まるで「秘宝館」のような展示に自然と笑みがこぼれる。
かつて同展を見学した友人によると、以前は人民解放軍もブースを出展していたという。彼の撮影した写真には、「包茎は諸刃の剣」と書かれた軍病院のポスターが写っている。
「諸刃の剣」? 中国人に聞くと、どうやら包茎には“長持ちするから良い”という考えがあるらしい。しかし、不潔になり病気のリスクも高まるため、包茎手術を奨めているのだ。
お堅いイメージの軍がアダルトグッズ見本市に出展すること自体、日本人には理解しがたいが、これには訳がある。軍では1980年代以降に「自力更生」というシステムを導入し、公的予算に頼らず部隊ごとに予算を調達することが推奨された。病院以外にも一般向けの飲食店、宿泊施設など、各部隊が商業活動を行っている。包茎に悩む若者向けに、軍病院が出展していても不思議ではない。
※SAPIO2017年5月号