朝鮮半島の緊張がかつてないほど高まっている。4月7日、米海軍駆逐艦2隻がシリア中部の空軍基地に巡航ミサイルを発射。シリアへの化学兵器の密輸疑惑が囁かれる北朝鮮にも強い「警告」を与えた形となった。トランプ大統領は、続けざまに原子力空母「カール・ビンソン」を朝鮮半島沖に派遣した。
北朝鮮はそうした動きに対し、「米国による先制攻撃の兆候があれば米国を核攻撃する」と激しく反発。先鋭化する米朝の対立を世界中が固唾を飲んで見守っている。国際政治学者の藤井厳喜氏が解説する。
「有事が迫っている背景には、トランプ氏の強硬姿勢に加えて、これまで北朝鮮のバックについていた中国の態度の変化があります。金正恩政権がミサイル発射実験を頻繁に行ない、金正男の暗殺まで実行する状況を見るに、中国の北朝鮮に対する統制力がなくなってきている。ですから、シリアのアサド政権を支持するロシアが米国のシリア攻撃を黙認したように、米国の北朝鮮への軍事攻撃を中国が黙認する可能性は十分に考えられます」
米国の攻撃があるとすれば、対象は大陸間弾道ミサイル発射基地などへの限定的なものになるとみられている。ただし、北朝鮮側が反撃に出れば、陸海空軍合わせて約60万人の韓国軍と約2.5万人の在韓米軍の連合軍が、約100万人の北朝鮮軍と対峙する最悪のシナリオも起こり得る。経済評論家のぐっちーさんこと山口正洋氏はこう指摘する。
「万が一の事態があれば、日本経済への影響は大きいと思います。北朝鮮が徹底抗戦に出て、ソウルが戦場になるようなことがあれば、韓国に対する貿易黒字が年間2兆~3兆円に達する日本経済への打撃は大きい」
だからこそ、地政学リスクを懸念した売りが先行し、米国によるシリア攻撃以降、日経平均は年初来安値をうかがう展開が続いている。