毎年3月に米経済誌『フォーブス』が発表している「日本長者番付」の2017年版が公表された。この日本長者番付は、個人が保有している現預金や株式などの金融資産に加え、不動産やヨット、美術品などの資産、負債などを推計しながら算出される。勢いのある経営者が誰か明らかになるので、日本経済の映し鏡にもなる。今年の長者番付では、昨秋以降の株価上昇を受けてか、日本の上位50人のうち、4分の3近くが資産を増加させた。
1位は、総資産2兆2640億円のソフトバンクグループの孫正義社長。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(1兆8200億円)から3年ぶりにトップを奪回した。柳井氏の資産が昨年からほぼ横ばいだったのに対し、孫氏は約5800億円も増やした。背景にはトランプノミクスの追い風があった。
昨年12月、トランプ氏が大統領選で勝利すると、孫氏はすぐさまトランプ氏と会談。米国で5兆7000億円を投資し、5万人の雇用を生み出すと約束した。それを受け、株式市場ではソフトバンク株が急騰し、孫氏の資産は激増することとなった。
2位の柳井氏に続く3~5位は昨年と同じ面々。グローバル市場でも好調なサントリーHDの会長で約1440億円資産を増やした佐治信忠氏が3位(1兆4650億円)。上場企業で社員の平均年収トップを誇るキーエンスの滝崎武光名誉会長(4位・1兆3880億円)は1兆円超え、金融事業が好調な楽天の三木谷浩史会長兼社長が5位(6770億円)だ。