松山英樹(25)のマスターズ制覇は、まだ遠かった。ニュースで繰り返し流れたのは、オーガスタの高速グリーンに苦しむ姿だった。松山自身、「応急処置できるレベルじゃない」と振り返ったように、4日間で3パット7が響き、首位と8打差の11位に終わった。
「3日目の最終ホールではバーディ狙いのファーストパットが1メートル以上オーバーし、2パット目がカップに蹴られると、50センチのボギーパットも決まらず4パット。最終日がベストスコアの67だっただけに、悔やまれる場面でした」(スポーツ紙のゴルフ担当記者)
“敗因はパット”という印象を強く残したが、NHKの米ツアー解説でおなじみの沼沢聖一プロは「むしろ松山が得意としてきたショットに原因があるのでは」と分析する。
「松山のショットはバックスイングから切り返しの瞬間、トップでひと呼吸を置いてからクラブを振り下ろしますが、今回はそのひと呼吸が微妙に長かったり短かったりした。特にトップのためが短い時は、本来の軌道より外側からヘッドが入り、ショットが左右にバラけていた。得意のショットがブレた分、いつもより長い距離が残るパットに負担がかかってしまった」
昨年10月から今年2月にかけて9戦5勝と絶好調だっただけに、日本人初のメジャー制覇が期待されたが、2月の「フェニックスオープン」を2連覇して以降、予選落ちも経験するなど調子を崩していた。沼沢氏が指摘するフォームの微妙なズレもその一因だったようだ。マスターズ前に修正する術はなかったのか。ゴルフジャーナリストの菅野徳雄氏はいう。