NHK Eテレで放送中の『きょうの健康』(月~木)が4月で放送開始50周年を迎えた。ここまで長く続いているのはどうしてなのだろうか──。
50年の間には、病気の原因や治療法などが大きく変わってしまうこともあるが、病気を取り上げる時々で、その時の最新情報を伝えるようにしていると、チーフ・プロデューサーの阿久津哲雄さんは語る。
「たとえば、脳内の血管治療や動脈りゅうの治療は、新しい機器が次々に登場して、大きな進歩をしています。こうした進歩を番組の中でしっかりと伝えるようにしています」
これまで病気の原因と考えられていたことが2~3年で大きく変わることもあるという。食物アレルギーはその1つ。
「以前は食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因になると考えられていましたが、今はその逆。アトピー性皮膚炎が食物アレルギーの原因になるという説が有力です。アトピー性皮膚炎で皮膚に炎症があり、そこに卵やピーナッツなどの食物がくっつくと、皮膚の免疫細胞が過剰に反応し、その食物に対してアレルギーを引き起こす準備が整ってしまう。それで、次にその食物を食べると、アレルギー症状が出てしまうようです」(阿久津さん)
番組のキャスターを務める岩田まこ都さんも、この変化には驚きを隠せないと言う。
「たとえば10年ほど前には、ぎっくり腰になったら、安静にして寝ているのがいいといわれていましたが、今は歩ける場合は、歩いた方が治りが早いといわれています。他にも、私には9才になる娘がいますが、彼女が幼い頃は、アレルギーの原因になりそうな食物は、あまり食べさせない方がいいといわれていましたが、今は子供の発育のためには、むしろ食物を除去しない方がいいという考えが主流です」(岩田さん)
医学の進歩に合わせて、番組の情報も更新されている。
◆けん玉や太極拳も健康法に
番組で取り上げるのは病気だけではない。最近は健康法として、足腰を鍛え、脳の活性化にも役立つというけん玉を健康法として紹介し、話題に。
「ほかにもヨガや太極拳を取り上げたこともあります。見ている人が健康に過ごせる情報ならば、積極的に取り入れるようにしているので」(阿久津さん、以下「」内同)
ただし、巷ではやっている健康法でも、根拠がはっきりしないものは、取り上げないという。