臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、政治家のネクタイの色に注目。
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閣僚の失言が止まらない。今月初め、今村雅弘復興担当相がフリーの記者の質問に激高し謝罪したばかりだが、今度は山本幸三地方創生相が、滋賀県の講演で「一番のがんは学芸員」と発言し謝罪した。今年の2月には、金田勝年法務相の曖昧な答弁と失言が大きな問題になったばかり。ということで、失言大臣たちの心の内を、そのネクタイの色を中心に分析してみる。
まずは今村復興相。記者の質問に自主避難は「本人の責任」と答え、「自己責任か?」と問い直されると表情が強張る。「責任」という言葉を無自覚に用いたことに、まずいと気がついたのだろう。さらに詰め寄られると、一気に感情を爆発させた。この会見で、今村氏が締めていたのはエヴァンゲリオンのネクタイ。エヴァの制作会社が福島にあり、プレゼントされた今村氏には応援の意味があったという。
失言当日の謝罪会見、今村氏が締めたのは淡い緑と紺の柄のネクタイ。福島への応援や復興への意気込みのはずだったエヴァのネクタイはあっけなくはずされていた。淡い緑は感情を落ち着かせる色であり、謙虚さや調和、平和をイメージさせる色である。気持ちを穏やかにし反省を示すにはいい色だが、自主避難者の方々への謝罪でもあるなら、なぜわざわざ替えたのか?
数日後の閣議後会見、再び謝罪した時に締めていたネクタイは淡いピンク。淡いピンクは柔和、思いやり、細やかな気配りを印象づけたい時に身につけるといい色で、謝罪する気持ちがあるという印象は与えた。だが本当に復興を考えているなら、ここでこそエヴァのネクタイだったはず。演台の前に立ち、エヴァのネクタイをまっすぐに締め直して襟元を正し、大きく深呼吸してから謝罪する──これぐらいの印象操作ぐらいはできてほしいものだ。
山本創生相の場合も失言翌日、記者たちの前に現れた時のネクタイはピンク。だがこちらはショッキングピンクに赤い柄だ。それも曲がって締められている。顔には唇が見えなくなるほど口元をしっかり結んだ渋い表情を浮かべていたが、派手なピンクに曲がったままのネクタイで謝罪とは…。
このピンクに赤の色合いを見ると、本当は赤にしたかったが、とりあえず今日はピンクにしておこうという意味に取れる。ピンクは赤の代用であり、気持ち的には赤を選んだのと同じだ。
赤のネクタイといえばトランプ大統領が思い浮かぶ。選挙中や勝負時の赤は成功の可能性をアピールし、積極的、攻撃的、情熱的、リーダーシップをイメージさせる。赤はそんなパワーのある色だが、同時に人の心に恐怖や脅威を呼び起こして威嚇し、回避行動を取らせる色でもある。