日常生活ではあまり使われることがなかった言葉「忖度(そんたく)」が、森友学園問題が起きて以来、ちょっとした流行語となっている。経営コンサルタントの大前研一氏が、政治や行政の世界に「忖度」が蔓延し、連鎖していることが日本の文化とは本来、合っていないことを解説する。
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森友学園問題の発覚以降、今年の流行語になった「忖度(そんたく)」。それは単に一学校法人の問題にとどまらず、「安倍一強」体制が長期化して政権の“暗黙の圧力”が強まる中で役人や議員たちの間に蔓延した弊害にほかならない。
一例は「教育勅語」を学校で教材として用いることの是非をめぐる議論だ。松野博一文部科学相は4月4日の記者会見で「どの教材を使ってどう教えるかは、憲法などに反しない限りは一義的には教員、学校長に権限があり、問題があれば所轄庁、所管庁が適切に指導すると考えている」と述べた。これでは結局、教育現場が政府の意向を忖度して判断することになる。
もともと安倍晋三首相は「教育勅語」について、官房長官時代の答弁で「大変すばらしい理念が書いてある」と評価しているのだから、周囲はその復活が首相の本意だと忖度するだろう。