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三菱・三井・住友が今も企業規範にする創業家の家訓

岩崎家の家訓は今も三菱グループに受け継がれている

〈相場より安いものが持ち込まれても、出所がわからないものは盗品と心得よ〉──三大財閥の中で創業(1590年)が最も古い住友家の初代、住友政友が晩年、商人の心得を書き残した5か条の家訓の一つを現代文に直したものだ。政友の僧名から「文殊院旨意書」と呼ばれる。

 住友グループ企業の社長に就任すると、住友家現当主の17代目住友吉左衞門芳夫氏からこの文殊院旨意書を受け取り、正式にグループの社長会「白水会」のメンバーとなるという。

 そして当主から春には京都の住友家旧別邸「有芳園」で開かれる祠堂祭、秋は東京のホテルで行なわれる御招宴に招かれ、毎年少なくとも2回、白水会メンバーやOBの住友グループ元社長、会長、相談役らが当主を囲んでいる。当主は今もグループ内で「家長さん」と呼ばれ、敬われている。

 戦後、GHQの財閥解体によって財閥企業は創業家と切り離されたが、その後、70年経っても創業の精神はグループ企業にしっかり受け継がれ、創業家は「精神的支柱」として君臨しているのだ。

「白水会の特徴は住友グループ17社の社長がすべて対等で、議事は全会一致が原則ということです」(住友グループ関係者)

 住友だけではない。「人の三井」といわれる三井グループには家祖・三井高利が遺書として残した家訓「宗寿様元禄之御遺言」がある。

〈単木は折れやすく、材木は折れ難し。お前たちは互いに協力して家運の強固を図れ〉
〈各家の営業より生じる総収入は、一定の積立金を引去りたる後、始めてこれを各家に分配すべし〉

 など、三井各家の結束と事業の継続を説いたものだ。

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