今クールのドラマには『貴族探偵』(フジテレビ系)、『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』(フジテレビ系)、『マッサージ探偵ジョー』(テレビ東京系)など、探偵が登場する作品が多い。これら、探偵モノに欠かせないのが“空回り刑事”だというのはコラムニストのペリー荻野さんだ。ペリーさんが その役割について綴る。
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日本の探偵ドラマに「空回りデカ」は、欠かせない存在だ。事件が起こると、真っ先に現場に駆けつけ、大騒ぎするわりにちっとも事件を解決できない愛すべき刑事たち。日本では『ルパン三世』の銭形警部をはじめ、『金田一耕助』シリーズの等々力警部(日和、磯川のときもある)、『明智小五郎』シリーズの波越警部など、有名な空回りデカがドラマを面白くしてきた。私は個人的に彼らを「日本三大空回りデカ」と呼んでいたのだが、今シーズンのドラマには「新・日本三大空回りデカ」と呼びたい面々が出てきている。
その代表が、『貴族探偵』の神奈川県警の鼻形雷雨(生瀬勝久)。生瀬の空回り刑事といえば、『トリック』シリーズでヅラ疑惑を持たれていた矢部謙三がおなじみ。今回の鼻形も「警察の威信にかけて」というところを「警察のミシンにかけて」などと言い間違い、女探偵(武井咲)に呆れられる。空回りぶりにもベテランの味を感じさせている。
もうひとりの空回りデカは、『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』の山路刑事(高島政宏)だ。何よりも骨が大好きという標本士の九条櫻子(観月ありさ)が、森の中で白骨死体を発見。骨を見ただけで「二十代から三十代の女性」「右利き」「あごの骨折は死の直前のもの」などとスラスラ言い当てるのを聞いた山路は「あんた何者だ!?」と怖い顔。さらには彼女が「面白い」と現場に落ちていた歯を持ちだそうとすると目を怒らせ、「署まで来い!!」と連行してしまう。山路は大張り切りだが、結局、事件は「自殺です」という櫻子の推理で解決するのだった。苦い顔の山路。思えば、高島は超シリアスな刑事もやるが、空回りも得意という臨機応変デカといえる。