間質性膀胱炎は、膀胱の筋肉(間質)に炎症が起こり、壁が厚く硬くなることで膀胱の伸びが悪くなる病気だ。通常の膀胱炎は細菌感染で、頻尿や膀胱の痛みなどの症状が現われるが、抗生物質で完治する。間質性膀胱炎は、頻尿や膀胱の痛みなどの症状は同じだが、通常の膀胱炎が排尿の時に痛みを感じるのに対し、尿が膀胱に溜まると痛みがあり、排尿すると痛みは消える。
また間質性膀胱炎は、尿検査で異常がでるといったことはなく、自己免疫疾患が疑われていて、発症原因はわかっていない。東京医科歯科大学医学部附属病院泌尿器科の横山みなと医師に話を聞いた。
「症状だけでは通常の膀胱炎や過活動膀胱の可能性もあり、診断が難しい病気です。膀胱鏡検査で膀胱内に潰瘍があったり、点々と点状出血など特徴的な所見があると間質性膀胱炎と診断できます。ところが、外来ではそうした所見が確認できない症例も多く、見逃されている患者も相当数いるのではと考えられます」
膀胱の内部に潰瘍ができるタイプは、ハンナ型といわれ、特定難病疾患に指定されている。膀胱全体にポツポツと点状出血の所見だけがあるのは、非ハンナ型である。
治療は膀胱の筋肉を緩める頻尿改善薬や抗アレルギー薬などを使う。さらに外来での膀胱鏡検査で診断がつかない場合は、治療的診断として膀胱水圧拡張術を行なうこともある。入院して下半身麻酔をした後、膀胱に水を入れ膨らませる。
これによって、見えにくかった点状出血が、はっきりと確認されたり、粘膜が裂けた潰瘍を発見できることもある。潰瘍を発見したら、膀胱鏡で粘膜を削り取ると粘膜が盛り上がってきて治る。潰瘍ができるハンナ型にとって、これ以上の有効な治療法はない。