北朝鮮が世界の安全保障を揺るがす脅威となった。しかし武力攻撃を米国に頼るのが現在の日本である。北朝鮮情報の発信メディア「デイリーNKジャパン」編集長・高英起氏が米国の本音を分析する。
* * *
ここ1か月、米国が北朝鮮に先制攻撃を仕掛けるような緊張状態が続いていた。長年、国際社会の悩みの種となっていた北朝鮮の核・ミサイル問題が、一気に解決するかのような論調も見受けられた。
しかし、筆者は、複数のメディアで今回の情勢を解説する機会があったが、次のような見方を示していた。 「トランプは金正恩を先制攻撃できないだろう」
筆者が、米国が先制攻撃できないとする最大の根拠は、既に北朝鮮が事実上の核保有国だからだ。北朝鮮が大言壮語するように、米国本土を打撃できる核武装国家とは言いがたいが、核爆弾の実験には成功している。北朝鮮の核兵器も核関連施設についても全てが解明しているわけではない。
もし米国が北朝鮮を攻撃すれば、米本土に打撃を与えられないまでも、同盟国である日本と韓国が核の報復を受ける可能性がある。それだけでなく、在日韓米軍、そして滞在している多くの米国人が核の脅威にさらされるかもしれない。
米国がそこまでのリスクを覚悟して、北朝鮮を先制攻撃するとは思えない。