昨年末、自動車業界に衝撃のニュースが走った。日産自動車の「ノートe-POWER」が日産車として30年ぶりに新車販売台数でトップに立ったのだ。そのヒットの理由を、作家の山下柚実氏が同社への取材を基に探る。
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若者の車離れ」という言葉を耳にタコができるほど聞いてきた。「車に関心がある」若者は3割に過ぎず、「全く関心がない」人が同じく3割という調査も(日本自動車工業会2015)。戦後から今まで日本経済の中核を担ってきた自動車産業が転換期を迎えていることは、たしかだろう。これからの社会を動かしていく若い世代と車との距離が遠のいていく今、メーカーは誰に向かってどんな車をアピールしていけばいいのか。厳しく問われている。
そんな中、刺激的なニュースが世の中をアッと言わせた。「30年ぶりに日産が首位を奪還」(2016年11月の月間車名別新車販売台数)。日産車がトップになるのは、実に1986年の「サニー」以来というから驚きだ。
このところ首位を走り続けていたトヨタ「プリウス」を抑えて、堂々トップに躍り出たその車とは……新しいパワートレイン「e-POWER」を搭載した「ノート」。一過性の人気ではない。今年に入ってからも1月の首位は「ノート」、2月は「プリウス」、3月は「ノート」と、日産とトヨタが首位を巡ってデッドヒートを繰り広げている。
30年ぶりの快挙を果たした「ノートe-POWER」の魅力とは何か? 車の未来を切り拓く力が、その中にどれほど潜んでいるのだろうか?