中国の伝統医学は1500年前に日本に伝来してきた。その本場をも覆す現象が、「爆買い」中国人観光客を通して巻き起こっている。フリーライターの清水典之氏がレポートする。
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ひと頃の勢いはなくなったとはいえ、いまも銀座や秋葉原では買い物をする多くの中国人観光客の姿を見かける。今、彼らの間でブームになっているのが、「日本の漢方薬」だ。
なかでも、〈長年悩まされてきた問題が日本によって解決された〉と中国メディアが賛辞を贈っていて中国人がこぞって買っているのが、「タバコや排気ガスなどによる気管支の炎症を改善」「せき・たんをやわらげる」作用を持つ漢方薬、小林製薬『清肺湯ダスモック』だ。
桔梗や陳皮など16種類の生薬が含まれ、「有効成分がなるべく多く抽出できるように、エキス製造工程を工夫しました」(公式HPより)という。
なぜ中国でダスモックが注目されているのか。別の中国メディアが「日本の漢方薬がPM2.5対策になる!? 中国人の新たな爆買い対象に」と紹介しているように、大気汚染による健康被害が深刻な問題となっている中国で、新たな救世主として扱われているのが理由だ。小林製薬はダスモックの効能に「PM2.5に効く」とは一切謳っていないが……。
本当にそんなに売れているのか。新宿と上野のドラッグストア前で、中国人観光客に話を聞いた。