五輪でVIPの海上視察が必要なら、海保や海自の迎賓船を利用する方が治安の面からも優れていることはいうまでもない。
しかし、都議会では与野党ともに新船建造の無駄を指摘するどころか逆に大賛成。経済・港湾委員会の議事録を見ると、自民党都議が「新しい視察船は五輪のレガシーの一つとして後世に残すことができればと考えております」(2015年6月17日)と言えば、民進党都議も「浮かんでいる姿が東京の夜景にマッチして、それだけを写真に撮りたいと思えるような船をつくるべきだと思います」(2016年3月15日)と発言。
無駄遣いを指摘するような声はなく、クルーザー発注が議会報告された今年3月議会にも、民進党会派から「人の目をひきつけるようなデザインを検討すること」という内容の意見書が提出された。
小池知事も港湾局も都議たちも内心、豪華クルーザーのオーナー気分で舞い上がっているようなのだ。
※週刊ポスト2017年5月19日号