銀行の担う役割は資金を預かったり、融資を行なったりすることにとどまらない。投資信託をはじめとする様々な金融商品が店頭の窓口で販売されている。それら金融商品の購入にあたってもユーザーは注意を怠ってはいけない。
日本証券業協会が行なった「証券投資に関する全国調査」(2015年度)によると、投資信託をどこで買うかという質問に、43%の人が銀行など金融機関の店頭だと答えている(2位。1位は証券会社店頭の44%)。
問題は、そうしたなかで「手数料が高い投信ばかりが積極的に売られているのではないか」という疑念があることだ。
金融庁が昨年8月、金融審議会「市場ワーキンググループ(WG)」で発表した資料では、日米の投資信託売れ筋上位5商品の販売手数料が比較されている。それによれば米国の0.59%に対して日本は3.2%。実に5倍以上の格差があるのだ。
金融庁もこうした実態を問題視し、森信親長官は4月の日本証券アナリスト協会での講演で「(手数料)コストを上回るリターンを上げるのは容易ではない」と指摘。同庁が3月末に発表した金融事業者向けの指針「顧客本位の業務運営に関する原則」においては、「手数料等の明確化」という項目を盛り込んだ。金融ジャーナリストの浪川攻氏が語る。
「購入時の販売手数料だけでなく、保有していると信託報酬の名目で管理手数料が引かれる。これまではそうした手数料の詳細も不明瞭だったので、どのようなサービスの対価なのか明示するように求めたのが今回の指針でした」