臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、世界中の注目を集めるフランス次期大統領のマクロン氏とブリジット夫人を考察。
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最年少でフランス次期大統領への就任が決まったエマニュエル・マクロン氏。同時に、25歳年上のファーストレディが誕生した。選挙期間中から注目されたブリジット夫人は、マクロン氏の高校の恩師で、当時は既婚で3人の子持ち。それでも純愛を貫くマクロン氏とついに結婚。
フランスでは、そんな彼女への好感度は高いらしいが、他国の反応は案外、冷ややか。日本なら熟女好きかと揶揄する一方で、「ありえない!」という人もいるだろう。
だがそこは恋愛大国といわれるフランス。勝利宣言を行ったルーブル美術館前の広場では、支持者たちから「ブリジット!」の声が響いていたほど人気者。ということで、その存在がマクロン氏のイメージアップにつながったといわれる理由を考えてみた。
二人はこの関係を選挙にうまく利用した。オランド政権の前経済相ではあるものの、既存政党に所属していなかったマクロン氏が人々の関心を集めるには、売れない芸能人の売名行為じゃないが、スキャンダラスな香り漂う恋愛関係を話題にするのが一番の早道。
それにはブリジット夫人を前面に出す必要がある。だけど、略奪愛に歳の差婚で関心を集めるだけでは、ゴシップネタで終わるのがオチだ。反感をもたれては選挙戦に逆効果、認知度と好感度アップが必須になる。そこで重要なのがブリジット夫人の見た目や振る舞い、仕草だ。ドラマじゃないが、“人は見た目が100パーセント”なんだから。
ファーストレディとなる夫人がどんな人か、人々の前でどのように振る舞い、夫に対してどんな仕草や行動を見せるかが、マクロン氏人気を左右するカギだ。
当然、ブリジット夫人は人々から好かれなければならない。64歳とは思えないプロポーションとファッションは、若い年下夫のためだけではないのだ。ブリジット夫人がたるんだ身体に地味で老けた服を着ていたら、マクロン氏の手腕や人間性を見ることなく、マニアックな趣味と幻滅しか感じなかっただろう。
少々若作りで痛い感じもするが、ブリジット夫人が整形もせずナチュラルな笑顔で颯爽と現れ、堂々と振る舞い「フランス流大人のいい女」を演出することで、マクロン氏は純愛を貫いたロマンチックな男性とされ、二人の結婚も肯定的に受け入れられたのだ。