〈昨日、最近の葬儀では、参列者に無理に遺体の顔にさわらせたり、遺族に参列者の前で湯かんをさせたりするものがあると聞いて驚愕した。葬祭業者は、常軌を逸した演出に傾いている。まじ、「葬式は、要らない」。〉
4月24日のツイッターでこう述べたのは宗教学者の島田裕巳氏だ。この発言には、多くの賛同の声が上がった。今時の葬式に「感じるところ」がある人が多いのだろう。
今時といっても、海への散骨や樹木を墓石代わりにする樹木葬のようにスタイルそのものが変わっているわけではなく、喪服、線香の香り、読経といった昔ながらのしめやかな雰囲気を装いながら、“サプライズ的演出”で参列者を戸惑わせるタイプの葬式だ。都内在住の60代の男性は、会社員時代の元上司の葬式に参列し、あっけにとられたという。
「途中までは普通だったのですが、お棺に花を供えたあと、司会者が『献唱』と題して、故人の好きだった歌を心を込めて一緒に歌いましょうと呼びかけたんです。曲は『見上げてごらん夜の星を』だったかな。私以外の参列者も戸惑っていました。
式の前に練習していたのでしょうか、奥さんやお孫さんが涙で途切れ途切れになりながら歌いきったのですが、歌い終わると拍手する参列者もいて、張り詰めていた神妙な空気がおかしなことになってしまいました」