頻発する高齢ドライバーによる自動車事故。対策は急務だが、政府・自治体は運転免許の自主返納を促す程度のことしかしていない。そんななか、ある「目からウロコの対策」が注目を集めている。普通免許新規取得者の60.2%が「AT限定免許」という“オートマ車全盛時代”に逆行する「マニュアル車活用法」である。
しかし、現在市場に出回っているのはほとんどがAT(オートマ)車だ。「新車販売台数」(日本自動車販売協会連合会『新車登録台数年報』、2016年)によれば、2015年に販売された新車239万1404台のうち、MT(マニュアル)車の割合はわずか1.6%(3万9331台)しかない。
2017年3月時点での売り上げベスト10の車種のうち、AT車とMT車が並行販売されているのはホンダ・フィットの1車種のみである。
「運転が楽だから」とAT車を選ぶユーザーが増え、MT車を作っても売れないというのが理由だ。
日本自動車販売協会連合会が統計を取り始めた1984年の段階では、MT車が全体の56.8%と、過半数をMT車が占めていた。運転操作に詳しい近畿大学の多田昌裕講師(交通情報学)も、MT車の運転をすすめる。