ライフ

「日本の中華は記憶の中の懐かしさも味わえる」と中尾彬

日本の中華は独自の発展を遂げた(写真:JUN TAKAGI)

 中国から入ってきて日本に浸透した文化のひとつに「食」が挙げられる。以来、独自の発展を遂げた「日本の中華料理」が持つ、本場の中華にない魅力を、芸能界きっての食通である中尾彬氏に聞いた。

 * * *
 日本で食する中華料理の最大のアドバンテージは「記憶」だと思います。私は戦後の貧しい時期に千葉の木更津で育ちました。実家の目の前に海が広がり、海産物が豊富にとれるので食卓は海の幸ばかりで、カレーにまでアサリが入っていました。

(妻の池波)志乃は「あら、シーフードカレーいいじゃない」と無邪気に言うけど(苦笑)、子供心には魚がイヤで仕方なく、どうしても肉が食べたくて夜中に親父が持ち帰る折詰が待ち遠しかった。長男だから先に食べる権利があったんです。

 そんな世代にとって、街の中華屋で食べる料理はごちそうでした。チャイニーズレストランなどない時代に街の中華屋で「支那そば」を食べて“メンマとはこんなにおいしいものなのか”と感動しました。

 シウマイの味も忘れられません。本場のカニ爪や貝柱を混ぜて作ったシウマイではなく、くず肉を集めてグリーンピースでごまかしたような代物を街の肉屋で買い、ウスターソースをつけて食べると実においしい。〝大人になったらこのシウマイを肴に一杯やろう〟と心に誓ったものです。

 本場の中華には四川、北京、広東などいろいろあるけれど、多くの日本人が好きな中華料理は、駅前の路地裏にある薄暗い店の餃子やチャーハンでしょう。中華は日本人にとってそれだけ身近な料理であり、「中華料理が苦手」という声はあまり聞きません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン