現在何かと話題のメルカリは2013年7月にスタートした。店舗や卸売りなどを通さず、個人と個人の間で商品を売買できる仕組みが爆発的な人気を博し、アプリのダウンロード数は昨年末で4000万件を超えた。圧倒的な人気の秘訣は「手軽さとスピード感」だ。
出品者はまずスマホにアプリをダウンロードして売りたい品物をスマホカメラで撮影すると、自動的にサイトに商品がアップされる。続いて商品名や説明文、販売価格などを入力して出品ボタンをタップすれば完了。慣れれば3分で出品できるという。出品後も面倒な作業はなく、手順は極めてシンプルだ。
「ヤフーオークションなどは期間内に値段が少しずつ上がって最後に落札した人が買いますが、メルカリは購入者が最初に設定した価格に納得すればすぐ売買が成立するのですごくスピーディー。購入者が支払った代金はいったんメルカリが預かり、商品が届くまで出品者にお金が渡らないシステムなので、“お金を払ったのに品物が届かない”というネット売買によくあるトラブルは起きません。商品が届いたら、受取評価をすれば取引終了です」(ITジャーナリストの三上洋さん)
メルカリでは1日100万点以上が出品、売れた商品の半数は出品から24時間以内に売買が成立しているとされる。SNSに投稿するような気軽さで出品できるだけに、売買される商品は実に幅広い。愛媛県在住の家事手伝い・嶋田理恵さん(27才・仮名)が好んで出品するのは「農作物」。
「お小遣いがなくなると農業を営む祖母のところで不揃いの作物をもらって出品します。スーパーでもらったみかんの図柄入りの箱に入れて出品するとブランド感が高まってよく売れます」(嶋田さん)
神奈川県在住の主婦・小堺涼子さん(42才・仮名)のヒット作は「デパートの紙袋」だ。
「子供の誕生会でお友達に手作りクッキーを配る時に使うため、有名デパートの紙袋を10枚買いました。おかげで高価なプレゼントっぽくなり、ママ友から“あの紙袋どうしたの”って聞かれて鼻高々です」(小堺さん)
静岡県在住の主婦・横井遥さん(54才・仮名)が一目ぼれしたのは「多肉植物」。
「多肉植物のカット苗を買いました。私は植物の素人ですが、メルカリだとお店の鉢植えより断然安く買えて、育て方でわからないことは出品者に教えてもらいました。おかげでカット苗は元気よく育っていて毎日世話をするのが楽しみです」(横井さん)
ほかにも、「トイレットペーパーの芯」「離婚届」「蛇の抜け殻」「折り鶴」「古新聞」「使用済みの遊園地のチケット」「10年前に作った泥だんご」「髪の毛」など、“え、コレ一体何に使うの?”と驚くような出品が数多い。
フリマアプリに詳しいライターの鈴木梢さんは、「それでも売れるのは、使い道があるから」と指摘する。