空前の相撲ブームの到来は、5月場所中の毎朝7時45分に売り出される当日券400枚の行方を見ても明らかだ。午前6時には500人の行列ができ、あっという間に売り切れになる。
国技館内の売店では大関以上の力士名が冠された弁当(税込1150円)が販売されるが、幕下の取組が始まる午後1時過ぎにはすべての弁当の山が消える。
「鶏竜田揚げと揚げ餃子の『白鵬弁当』、牛焼肉に唐揚げの『日馬富士弁当』などがありますが、鶏肉と長ネギの塩和えがメインの『稀勢の里弁当』は他の弁当の倍の数を用意しているのに、真っ先に売り切れていきます」(国技館サービスの担当者)
そうした人気が、横綱・稀勢の里にとっては重荷となってのしかかった。先場所13日目の日馬富士戦での負傷が完全に癒えていないのは明らかだが、強行出場以外の選択肢はなかった。
初日に嘉風(小結)、4日目に遠藤(前頭1)に苦杯をなめさせられたことを受けてなお、所属する田子ノ浦部屋の関係者はこんな言い方をしていた。
「横綱(稀勢の里)の左腕は万全とはいえないが、取組に支障はないですよ。初日の黒星も、“立ち合いの変化を警戒するあまり、棒立ちになってしまった”と冷静に敗因を分析できている。ケガをしている左腕側から攻められるのも想定の範囲内です」
数字にはっきりと出るところでは、懸賞本数がわかりやすい。