〈当社は、読者の信頼を取り戻すための第一歩として、訂正記事の書き方を変えます〉〈必要に応じて間違えた理由などを丁寧に説明します〉──2014年12月9日、朝日新聞は朝刊紙面でそう宣言した。
2014年といえば、「慰安婦」、「吉田調書」の記事取り消しや訂正、謝罪に追われた年である。翌2015年4月からは「訂正・おわび」を社会面に集約。2段抜きの見出しで掲載するようになった。そうした取り組みの“成果”として、訂正・おわびの件数が月平均27件と、以前の倍以上に増えた(2014年10月から2015年6月まで)。
現在も数多くの訂正記事が出ているが、「おわびの外側にも朝日の宿痾が見え隠れしている」と指摘するのは、作家・比較文学者の小谷野敦氏だ。
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ジャーナリストの池上彰が連載コラムで朝日の慰安婦報道検証を「遅きに失したのでは」と批判したところ、社の判断で掲載が見送りになった一件がある。
この時は池上と朝日の一連のやり取りが外部に伝わって「言論封殺」との批判が巻き起こり、慌てた朝日は池上コラムを掲載し、その後、〈多様な言論を大切にする朝日新聞として間違った判断であり、読者の本紙に対する信頼を損なう結果になりました〉とおわびした(2014年9月6日付朝刊)。
しかし、これはおわびになってない。朝日は自分たちに都合の良いことを書く人として池上に頼んだつもりが、内心は飼い犬に手を噛まれた気持ちだろう。