ライフ

『BLUE GIANT』の石塚真一氏 音楽を紙で表現する技術

自らサックスをプレーする石塚真一氏

 ジャズミュージシャンの成長を描いた石塚真一の漫画『BLUE GIANT』がシリーズ累計230万部を突破、第62回小学館漫画賞を受賞するなど注目を集めている。石塚を長く支える担当編集者は、その魅力をこう表現する。

「表情、線、表現、コマ割と画のあらゆるところが真摯なんです。彼の持って生まれた人柄がよく出ていて、とってつけたような感じにはならない。人が動いて、喋っていても、何かがそこにあるような感じがするんです。真摯な漫画家さんはたくさんいるんですけど、特別な感じがしますよね」

 石塚が描くのは、人間だ。『BLUE GIANT』でも、主人公であるテナーサックスの宮本大、ピアノの沢辺雪祈、ドラムの玉田俊二の3人を始め、登場する人々は皆、人間味にあふれている。そこには、石塚自身の優しさ、真面目さ、人懐っこさがおのずと投影されているのだろう。一方、ジャズ漫画を作るには、音楽を紙の上でどう表現するかも重要になってくる。

「音が鳴っていると思って描くんです。念仏みたいに、頭の中で、これは鳴っているんだ、鳴っているんだと思いながら描く。それも、試行錯誤しながら毎回変えて描く。やっぱり、音のシーンが盛り上がっていかないとこの漫画は失速すると思うんです。読者の方は『鳴っているように見える、音が聴こえる』と言ってくださるんですけど、それは本当に読み手の人たちの想像力が豊かで、それに助けられているんです」

 石塚は、自らの作品によってジャズが盛り上がることを心底願っている。そして、こう思うのだ。

「いつの日か、日本からジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズが出てほしい、というのが僕の夢なんです。そんな日が来るまでジャズを盛り上げるお手伝いができたらと思っています」

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン