中国の習近平国家主席が5月初旬、「青年の記念日」に合わせて、中国の法律家養成の一大拠点である北京の中国政法大学を視察。多くの在校生や教師らと懇談し、「中国にとって法による統治は非常に重要だ。中国における政法大学の存在意義は極めて重要だ」など同大の重要性を強調したことについて、専門家の間では「権力闘争の勝利宣言だ」や、「秋の党大会をにらんでの保守派への牽制」などの声が出ている。
習氏の政法大への視察については、中国中央テレビの午後7時のメインニュース番組で、30分の放送時間中、その半分の15分以上を使って報道するという異例の対応となった。
習氏が多数の大学生らに取り囲まれて、「習大大(おじさん)」といった歓呼の声で迎えられている映像が何度も流されて、習氏への同大での歓迎ぶりがいかにすさまじいものだったかが、ニュース番組でもキャスターが何回も言及するほどだった。
また、習氏は同大のベテラン教授ら5人と対談する形で、「中国は法治国家にならなければならない」と力説し、「人治国家」といわれてきた中国の変化を進めていくなどと主張した。
これについて、米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「他維新聞網」は、「勝利宣言の意味が強い」との分析を明らかにした。元党政法委書記で、国家機密漏えいや汚職などの罪で無期懲役刑となった周永康・元党政治局常務委員の中国の政法部門での影響力が完全に除去され、習氏を中心とするグループが完全に政法部門を掌握したと報じたのだ。