放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、森昌子ブーム再燃の予感について。
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昨年7月、デビュー45周年を迎え、今年1月、『みぞれ酒』(記念曲第2弾)をひっさげ、各地のコンサート会場をまわっている森昌子。
2月に上梓した”子育て本“、『母親力 息子を「メシが食える男」に育てる』が翌月に「4万部突破した」こともニュースになった。コンサート会場でCDなどと共に並んでいた同書には、年配のファンが「息子夫婦のために買って帰る」と列を作り、一時、欠品していたそうだ。
森進一との間に生まれた3人の息子は、長男が“ワンオク”ことONE OK ROCKの Takaで、三男はMY FIRST STORYのHiro。いずれも若者たちに大人気のバンドであり、ワンオクは海外でも人気を博している。そして次男は在京テレビ局の社員ということで、本のサブタイトルどおり、3人共、メシが食える男に成長した。
ここまで来るのには決して順風満帆だったわけではなく、長男にしても、アイドル事務所に入所し、「森進一&森昌子の息子」として、“飛び級”のようなカタチで人気グループの一員になるも、脱退、退社。その頃のことを知っている人たちの中には「森昌子は子育てに失敗した」と思っている人も多かったのではないか。
だが、森進一と離婚し、20年ぶりに芸能界に戻って来て『バラ色の未来』をリリースしたのが06年6月。以来、息子たち3人を厳しく育て、彼らに「鬼のような母親」と言われながらもダメなものは絶対にダメという姿勢で必死に子育てした結果は、「お見事」というしかない。
『スター誕生』(日本テレビ系)の初代グランドチャンピオンに輝き、『せんせい』でデビューした森昌子は、その直後に同番組からスターになった桜田淳子、山口百恵と共に「花の中3トリオ」と呼ばれ、郷ひろみ、西城秀樹、野口五郎の「新御三家」と共に『明星』や『平凡』の表紙を飾ったり、毎日のようにあった生放送の音楽番組に出演していた。
「どこにでも居るようなフツーの女の子が歌手になる」先駆け的存在だった森昌子の活躍を見た同い年の岩崎宏美が、『スター誕生』に応募したのは有名な話。岩崎以外にも森昌子に触発されて歌の勉強をしていた中高生は大勢いたに違いない。