「津川氏らの研究はあくまで米国人に対するものです。日本と米国では医療システムや医師の仕事内容が異なるため、一概に日本の医療事情にあてはめることはできない。
しかし、医師の年齢が医療に与える影響が大きいことは日米で共通しています。一般的には日本でも、60歳を過ぎた医師はそれまで勤めていた大学病院を退職して個人医院を開院するといったことがきっかけで診療数が減ったり、大学病院に残っても後進の指導が忙しくなったりすることで、新たな知見を学ぶ機会が少なくなると考えられている。
医師の高齢化は、日本の医療全体の地盤沈下をもたらすリスクを孕んでいる。患者は自衛策として“医師を選ぶ”という視点がこれまで以上に必要になってくる」
経験豊富なはずの老医師が抱えるリスクは確かに存在する。米国では1~2年(州によって異なる)で医師免許の更新があるように、日本でも医師の高齢化に対処するための議論が活発に行なわれるべきではないだろうか。
※週刊ポスト2017年6月9日号