東芝や日本郵政など、外国企業の買収によって巨額の赤字を生み出した事例が近ごろ、目立つ。経営コンサルタントの大前研一氏が、これらの事例がなぜ起きているのかについて解説する。
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日本郵政は5月15日、2017年3月期の連結決算を発表し、2年前に買収したオーストラリアの物流子会社トールの「のれん代」など約4000億円の損失を一括で減損処理した。これに伴い日本郵政は2007年の民営化以降、初の赤字転落となった。
日本郵政に限らず、このところ日本企業が海外M&A(合併・買収)に失敗して大損失を出す例が後を絶たない。たとえば、東芝は買収したアメリカの原発会社ウェスチングハウス(WH)の経営破綻によって2017年3月期決算の赤字が9500億円に膨らみ、株主資産ベースで5400億円の債務超過に陥る見通しとなった。
住関連サービスのLIXILは、ドイツの水栓金具最大手グローエを買収した際に同社の子会社として一緒に傘下に入った中国企業ジョウユウの破産に伴い最大662億円の損失が生じ、2016年3月期決算で6年ぶりの赤字に転じた。
過去にも、武田薬品工業がアメリカのバイオ企業ミレニアム・ファーマシューティカルズとスイスの製薬会社ナイコメッド、日本板硝子がイギリスの板ガラス世界大手ピルキントン、松下電器産業(現・パナソニック)が米ユニバーサル映画、三菱地所がニューヨークのロックフェラーセンターを買収した結果、軒並み巨額の損失処理を余儀なくされている。