地下経済を語る際にはずせないのが金密輸だ。たびたび摘発されるも、一向に減らないのはそれだけ旨味があるからだろう。金密輸の最前線にノンフィクション作家の溝口敦氏が迫る。
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金の密輸にからんで金塊やカネを奪う事件が多発している。
4月21日、東京銀座では金塊を売却した直後の男(44歳)が背後から体当たりされ、現金4000万円入りのバッグを奪われた。前日の20日、福岡天神では男性会社員(29歳)が金の買付資金3億8000万円を駐車場で奪われた。
同日、福岡空港では現金7億3500万円を無申告で持ち出し、香港に運ぼうとしていた韓国人の男4人が関税法違反容疑で逮捕された。当初、高級車の購入資金と説明されたが、5月に入って福岡県警は金塊の違法取り引きを巡る資金の疑いが濃厚と発表した。
福岡では去年7月、警察官を装った男数人が金を貴金属店に持ち込もうとしていた男たちを取り囲み、「密輸品なのは分かってるんだぞ」と脅し、6億円相当の金塊を奪った。
どうやら金密輸で想像もできないほどの札束が乱舞しているようだ。業者間で情報洩れでもあるのか、盗ったり盗られたり、狂騒状態である。