大相撲5月場所は強行出場した稀勢の里(田子の浦部屋)の3連覇への期待で始まり、白鵬(宮城野部屋)の優勝、高安(田子の浦部屋)の大関昇進決定で幕を閉じた。
人気のバロメーターといわれる懸賞本数は15日間で計2153本と過去最高。明らかに「キセタカ」ブームの効果である。
「稀勢の里の懸賞の多くは高安の取組に振り替えられた。高安が獲得した懸賞本数は白鵬、稀勢の里に次ぎ、優勝を争った日馬富士(伊勢ヶ濱部屋)を上回った」(協会関係者)
来場者の投票でその日の最も注目する一番に懸賞が1本加算される「森永賞」は、千秋楽では横綱同士の結びの一番ではなく、高安と大関・照ノ富士(伊勢ヶ濱部屋)の取組に懸けられた。
面白くないのは、横綱・白鵬だろう。38回目の史上最多優勝だというのに、千秋楽翌日の各スポーツ紙面は、大関昇進を確定的にした笑顔の高安の写真がメインで、その隣に賜杯を抱える白鵬の写真が小さく載っていた。
「高安との一番では、館内から“白鵬、負けろ!”というヤジまで飛んだ。プライドの高い白鵬には、耐えがたい空気だったでしょう」(担当記者)
思えば初日から、白鵬の目の色は変わっていた。初めから全勝優勝にこだわり、なりふり構わず勝ちにいったというのだ。