長年にわたり映画やドラマなどで活躍し続ける女優・大谷直子の写真集は、『直子 受胎告知』(1981年5月、集英社)のみだ。6月5日に発売された『週刊ポスト』の袋とじグラビア掲載の写真は、『直子 受胎告知』に収録されなかったアザーカットの中から、写真家・稲越功一氏の著作権継承者の承諾を得て掲載したもの。なぜ、『直子 受胎告知』が生涯唯一の写真集となっているのか、妊娠中だった撮影時の思い出について、大谷みずからが語った。
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妊娠中のヌードを撮影してもらったのは、世界で私が初めてなんじゃないかしら。写真集『直子 受胎告知』が出版されたのは1981年ですが、世間に一石を投じたと思っています。そして私の生涯唯一の写真集です。
主演した、鈴木清順監督の映画『ツィゴイネルワイゼン』が1980年に公開され、突然、写真家の稲越功一先生から連絡があったんです。映画を観てどうしても私を撮りたくなった、着物が似合う日本の女を写真で残したいとおっしゃって。熱意が凄かったですね。当時、稲越先生は、矢沢永吉さんや沢田研二さんなど旬の方々を撮影され、乗っていらっしゃった。その方に自分が選ばれ、一も二もなく喜んでお受けしました。
「ヌードもありますよ」と言われましたが、私はヌードなんて怖くなかった。当時30歳でしたが、デビュー作の『肉弾』から始まり、映画で何度も脱いでいましたから。でも妊娠は予定外(笑い)。お引き受けした3か月後に妊娠3か月だとわかったんです。それで「妊娠の過程を7か月まで撮り続けよう」という話になりました。
撮影は間を置きながら春から冬まで。冬には北海道の余市で、着物一枚で雪原を走ったんですよ。妊娠中だからといって心配することなく楽しみました。写真撮影は楽です、映画と違って相手がいないから(笑い)。