これまで数々の役者が演じてきた茶人・千利休。今回、映画『花戦さ』でその役を務めるのは佐藤浩一(56)だ。これまでの佐藤のイメージとはひと味もふた味も違う利休像をつくりあげていると評判を呼んでいる。その魅力について時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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先日公開された映画『花戦さ』で、一番びっくりしたのは、千利休を佐藤浩市が演じたことだ。
物語は、安土桃山時代、京の都の花僧・池坊専好が主人公。出世にも名誉も興味なし! ひたすら花を愛する「けったいな男」専好は、多くの人の命を奪った時の権力者秀吉に、花を生けることで戦を仕掛ける。まさに命がけの『花戦さ』。これがホントの話だったということに驚くが、この変人主人公を野村萬斎が演じると聞けば、納得というものである。
なにしろ、野村萬斎は、映画『のぼうの城』の領民に慕われるでくの坊のようなのぼう様、三谷幸喜ドラマ『オリエント急行殺人事件』のピピンとしたヒゲと甲高い声の名探偵勝呂武尊(エルキュール・ポワロ))など、ここ数年、映画・ドラマでは、変人ポジションに君臨している「けったい系」。
『花戦さ』でも、信長相手に巨大な松を座敷に持ち込んだり、秀吉相手に奇抜な花でギャフン!と言わせると意気込んだり。時におとぼけ、時に不敵に、まつ毛の動きひとつで自在に感情を伝える技は、さすがだ。この筋金入りの「けったい男」の前に立ちはだかるカリスマ信長中井貴一と権力者の嫌な感じむき出しの秀吉の市川猿之助。ふたりもなかなかの存在感を漂わせる。