前都知事・舛添要一、68歳。気鋭の国際政治学者として華やかに登場し、政治家に転身すると厚労大臣を経て、都知事まで上り詰めた。そしてよもやの転落。1年の謹慎を経て、前都知事は、いま何を思うのか。沈黙を破って『都知事失格』(小学館)を上梓した舛添氏に、石原慎太郎時代から都政を取材してきたジャーナリスト・青木理氏が訊く。
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東京都の異常は都議会にも及んでいたとメディアは盛んに伝えた。“ドン”などと称される実力者が君臨し、怪しげな根回しを駆使して都議会を牛耳り、国会議員すら下手に手出しはできない。そんなイメージで描き出されたのは自民党都連幹事長などを歴任した内田茂氏である。舛添氏が「都知事失格」の烙印を押され、代わってその座に就いた小池百合子・新都知事の下、“ドン”の存在は“悪役”としてにわかにクローズアップされる。
私自身、内田氏について詳しく取材したことはない。ただ、都庁の要職を歴任した元幹部から最近、次のような話を聞いた際は、なるほどそういう面もあるのかと思わされた。
「内田さんが悪者にされていますが、僕は気の毒だと思いますよ。石原都政時代、知事がほとんど仕事をしなくても、都政を滞らせるわけにはいかない。とはいえ、議会の同意がないと話は進まない。そんな時、内田さんにお願いするとスムーズに事が進む。非常に助けられました」