この5年間で中国の都市部における防空壕建設が3億5000万平方m(350平方km)にも達していたことが分かった。北京や上海など87都市の1人平均の防空壕面積は約1平方mだという。建設費総額は2700億元(約4兆3200億円)にも上っている。中国人民解放軍総参謀部傘下の「中国国防報」(6月5日付)が1面トップで報じた。
これについて、ネット上では「防空壕なんて造って、どこと戦争をする気。アメリカやロシア、あるいは最近は北朝鮮もやばいよね」「いよいよ核戦争間近だね」などとの声が寄せられている。
中国の都市化率は今年1月現在で57.35%で、都市部ではいまも防空壕が建設されている。これは、1976年1月に死去した周恩来首相が「都市部における国民1人当たりの防空壕の割り当て面積は1平方mにしなければならない」という目標を明示していたからで、周恩来の死後、41年を経て、ようやく周恩来の遺言が実現したことになる。
防空壕が最も充実しているのは、山東省の港町である威海市で、軍港でもあることから、近年、工事が急速に進められており、この5年間で150万平方mにも達したという。
この防空壕には非常時に市民が敵の攻撃を逃れる避難所はもちろんだが、そのほかにも軍部隊の待機場所や医療施設、兵器格納庫、食糧備蓄倉庫なども備えられている。いわば一大地下要塞となっているという。同市は朝鮮半島に近いことから、可能性として最も高いのは「朝鮮半島有事」に備えるためとみられている。