〈官邸の最高レベルが言っている〉──前川喜平・前文科事務次官が「本物」と認めた文科省の内部文書の存在の第一報は朝日新聞(5月17日付朝刊)のスクープと世間では思われがちだが、実は最初に報じたのはNHKである。
5月16日の夜に放送された『ニュースチェック11』で、「内閣府の担当者が文科省側に、加計学園の獣医学部設置を前提としたスケジュール作成を指示した文書がある」と報じたニュースのなかで、その実物が示されていた。
ところがこの映像では、翌朝に朝日新聞が一面トップで大きく取り上げた〈官邸の最高レベル〉というセンセーショナルな文言が、なぜか消されていたのである。NHKの中堅局員が憤懣やるかたない様子で語る。
「文書の所々が黒塗りになっていましたが、文科省の教育課長や内閣府の審議官、参事官などの個人名が黒塗りにされていたのは理解できます。しかし、〈官邸の最高レベル〉の部分は首相の友人が理事長を務める加計学園に対し、官邸側が文科省に認可を迫ったことを窺わせる核心部分です。それがアナウンサーも一切触れずにスルーされた。“これほど内部文書の価値を無視した報道はない”と局内でも議論が起きました」