「福岡から警察が捜査に来る」──福岡市で約7億5000万円分の金塊が盗まれた事件で、名古屋在住の野口直樹・容疑者らに、電話で捜査情報を教えていたのは、何と愛知県警!
前代未聞の情報漏洩は、野口容疑者が「警察官3人とやり取りしていた」と暴露したことで、さらなる波紋を呼んでいる。なぜ、容疑者らは愛知県警と関係を持っていたのか。ジャーナリストの伊藤博敏氏が解説する。
「かつて暴力団と警察のつながりは密でしたが、名古屋では司忍組長の出身母体である弘道会が、『警察に情報を売らない、付き合わない、事務所に入れない』の『三ない主義』を掲げて、警察との接触を絶ってきました。しかし、警察も弘道会も、本当は双方とも情報が欲しい。そこでパイプ役を担ったのが、企業舎弟や半グレです。
4年前に警察を脅迫して逮捕された風俗チェーン経営者は弘道会の企業舎弟で、警察の個人情報を捜査一課警部から入手していたとして当時大きな問題になりました。今回の容疑者らは半グレ集団に属していたという。暴力団以上の反社情報が集まり、かつ暴力団のような制約がないということで、捜査員も付き合いやすい。だから今回も、『福岡の事件だから』と軽い気持ちで情報を流してしまったのではないか」
この件をスクープしたのは九州の西日本新聞だった。記事には野口容疑者の供述や、〈福岡県警は今回の捜査で通信傍受法に基づき、容疑者らの携帯電話を傍受しており、この捜査員を含む複数の警察官との通話を確認している〉といった経緯に至るまで詳細に書かれており、「福岡県警からのリークしかあり得ない」と話題を呼んだ。