6月3日、千葉・幕張海浜公園で開催された「レッドブル・エアレース千葉2017」。晴れわたる東京湾上空で、故郷の風景を懐かしむかのように緑色のプロペラ機が弧を描いた。
零戦──かつて米軍の戦闘機乗りを震撼させ、1万機余りが製造された日本が誇る戦闘機も、現存する飛行可能な機体はレプリカを除いて世界にわずか4機しかない。
今回の飛行はそのうちの1機で、私財を投じて零戦の「里帰り飛行」に心血を注いできたニュージーランド在住の実業家・石塚政秀氏(56)が所有する機体だ。
「どんな国でも、祖国のために尽くした戦闘機は国家の枠を超えて心からリスペクトされています。時間と資金をかけて修復し、実際に飛ばしている人が世界にはたくさんいるのです。しかし、肝心の日本は世界最先端の航空技術を持ちながら、1機の零戦もない。日本人として寂しすぎるし、大空を飛ぶ姿を皆に見てほしいという思いから始めました」(石塚氏)