憲法改正をめぐる議論がにぎやかだ。経営コンサルタントの大前研一氏が、はたして現在の政権下で改憲は現実となるのかについて論じる。
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安倍晋三首相の在任日数が小泉純一郎首相を抜き、戦後第3位になった。それに先立ち、安倍首相が5月3日の憲法記念日に「9条1項(戦争放棄)、2項(戦力不保持・交戦権否認)を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」との見解を示し、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明したことで、にわかに改憲論議が盛り上がっている。
安倍首相が改憲を正面から提起したのは評価できる。なぜなら、70年間にわたって一字一句も変更されていない現行憲法を時代の変化に合わせて改正していくのは当然であり、2020年の施行を目指すということは、衆議院議員の任期満了日が2018年12月13日、参議院議員の任期満了日が2019年7月28日なので、どちらかの選挙で安倍首相は改憲について国民に信を問うことになるからだ。
衆院選の場合、安倍首相は“死に体”選挙はしないだろうから、内政か外交で何らかの成果が出た時、それをテコに改憲をアジェンダにした解散総選挙に打って出るに違いない。それは政治家としては正しい態度だと思う。