洋の東西を問わず、民主主義が健全に働いている国であれば、政権に醜聞が発覚すると国民の批判が高まり、支持率は大きく下がる。だからこそ、政治家は国民の信頼を取り戻すために襟を正し、政治を改めようとする。
歴代最高の支持率を誇った小泉内閣でも、看板閣僚だった田中真紀子・外相の更迭を機に支持率が72%から49%へと一気に23ポイント急落した(朝日新聞による調査、以下同)。
ところが、安倍内閣ではそのメカニズムが働かない。次の数字を見ていただきたい。
■小渕優子・経産相、松島みどり・法相同時辞任(2014年10月)「+3ポイント」
■西川公也・農水相辞任(2015年2月)「-4ポイント」
■甘利明・TPP相辞任(2016年1月)「+2ポイント」
■今村雅弘・復興相辞任(2017年4月)「-2ポイント」
第2次安倍政権の発足以来、4年間に5人の大臣が「政治とカネ」や失言で辞任に追い込まれたが、支持率はほとんど下がらなかったのだ。
「大臣室での現金授受」が国民に衝撃を与えた甘利事件の際、官邸には「支持率が2桁下がるかもしれない」(首相側近)と心配する声が強かったが、フタを開けてみると、甘利氏辞任直後(2016年1月)に支持率が8ポイント上昇した調査(毎日新聞)まであった。