5月24日、三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取の体調不良による退任が発表され、後任として三毛兼承副頭取の昇格が発表されると、財界に衝撃が走った。過去の同行頭取が東大・京大出身者で占められるなかで、三毛氏は異例の「慶應出身」だったからだ。
しかし、経済部のベテラン記者は「むしろ遅すぎたくらい」として、こう話す。
「三菱グループと慶應の長くて深い関係を考えれば、何ら不思議なことではなかった。江戸末期に慶應義塾を創設した福沢諭吉と、明治に入り、三菱財閥を興した岩崎弥太郎は同い年で盟友ともいえる関係にあり、岩崎は福沢の推薦を受けた慶應の学生を多く三菱グループに雇い入れてきました。
その伝統はその後も変わることなく、三菱グループは役員数を見ても、慶應は東大に次ぐ第2勢力です。そんな慶應閥にとって、今回の三毛頭取誕生は、満を持しての登板といえる」
三菱東京UFJ銀行においては「ようやく」の慶應出身頭取だったが、財界を見渡せば、上場企業には300人を超える慶應出身の社長がいる。