これまでなら政権に大打撃を与えておかしくないスキャンダルが続出してなお、高い支持率を維持する──そんな安倍内閣の“不思議な強さ”。何しろ、失言やスキャンダルにより小渕優子氏、松島みどり氏、西川公也氏、甘利明氏、今村雅弘氏ら5人の大臣が辞任しても支持率低下は数パーセントで、逆に上がる時さえあったのだから。内閣支持率は国民の「政権への評価」を表わす指標というより、「社会の雰囲気」を投影する指標になっているとの指摘もあるほどだ。
だが、ここにきてその「社会の雰囲気」に新たな変化が出てきた。北海道新聞の最新の世論調査(道内)では、安倍内閣の支持率が12ポイント(53%→41%)の大幅ダウンとなり、不支持が57%に達した。
その時々の国民の関心が高いテーマについて、読者の意見を投票方式で調査する日経新聞電子版の「クイックVote」でも、北朝鮮のミサイル発射問題が焦点となった4月22日の調査では71.7%あった安倍内閣の支持率が、首相の改憲提案後(5月13日)には52.4%、そして加計学園問題の政府の説明に批判が強まった5月27日調査は支持率26.7%と第2次政権発足後の最低まで落ち込んだ。いずれも回答者は50代、60代の男性が中心だった。
同紙電子版は解説記事で〈とりわけ加計学園問題で政府に不満を持つ多くの方がアンケートに応じてくださったことで、異例の低支持率につながった可能性があります〉とサンプルに偏りがあることを断わっているものの、加計ショックで社会の雰囲気は変わりつつある。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が指摘する。