「北朝鮮は米国に次ぐ、第2の仮想敵だ」「韓国が朝鮮半島を統一した方が中国に有益」──。中国は激しい北朝鮮批判を続けている。もはや「血で塗り固められた友誼」は存在せず、国境をはさんで両軍が対峙。このままでは、米朝より先に、中朝戦争が勃発する可能性も指摘されている。ジャーナリストの相馬勝氏がレポートする。
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中朝国境の町、遼寧省丹東市。67年前に勃発した朝鮮戦争(1950年6月~53年7月)では中国人民解放軍78万人が「抗米援朝義勇軍」と名を変えて、この地から国境の鴨緑江を越えて北朝鮮領内に入り、米韓両軍を主力となす国連軍と激しい戦闘を繰り広げた。
休戦後、丹東には北朝鮮との友好のシンボルである「中朝友誼橋」が建設され、以後、中朝貿易最大の物流拠点となった。当地には20万人の朝鮮族が住み、北朝鮮に親類を持つ住民も多いだけに、北朝鮮の商品を売る個人商店が軒を並べ、活発な取引が展開されていた。だが、いまやその大半には「出租(貸家)」と書かれた紙が張られ、シャッター街と化している。
「中国政府が3月、北朝鮮産石炭の輸入を停止して以来、交易はめっきり減り、北朝鮮から人が来なくなった。商売上がったりだよ」
この町で10数年間、自動車用品店を経営している張氏(仮名)は中国系香港紙「文匯報」の取材に、こう答えている。張氏によると、北朝鮮が13年2月に核実験を強行したことで、中国が国連安保理の対北朝鮮制裁に加わってから、両国の交易は目に見えて減ったという。