数多の有名社長を輩出する慶應義塾大学。財界での影響力、存在感においては私学の覇を競う早稲田大を大きく引き離し、いまや最高峰・東大をも凌ぐほどだ。その勢力の源には、慶應OB組織「三田会」の存在がある。36万人を超える「塾員」たちの結束力と人脈は、トップ人事にまで影響を及ぼすといわれる。
在学中に「三田会」の“効力”に気付く者は少ないが、いざ企業に入ると、一気に効いてくるのだという。12回の転職をした経済評論家の山崎元氏は、こう話す。
「こと大きい会社になれば、どこに行っても、慶應閥、三田会の存在は強く感じます。例えば、三菱グループにも、三井グループにも企業内三田会がありますが、その会合に出れば、役員クラスから新入社員までいるわけです。
そこで直接話ができると、目をかけてもらえる可能性も高い。特に大企業の場合は部門や年次を超えて交流することはほとんどありませんから、そういった関係が唯一構築できる三田会は貴重です。三菱東京UFJ銀行でも役員を見ると、慶應卒は14人、早稲田卒は1人ですから、三田会の力が人事にも影響していると思います」