江戸時代後期の光格天皇以来、約200年ぶりとなる生前単位。新天皇の即位にあわせ2019年には新元号となるとみられている。「平成の終わり」が確実となったいま、すでに水面下では新元号制定の準備が着々と進められている。内閣官房副長官として「平成」の制定にかかわった石原信雄氏が、当時の経験をもとにこう推測する。
「1979年に元号法が制定され、『皇位継承時には政府が新しい元号を定める』と明文化された直後、昭和天皇がご健在だったにもかかわらず、政府はすぐ新元号の準備にとりかかりました。今回、陛下はすでに『生前退位』のお気持ちを表明している。次の元号の準備はすでにかなり進んでいるでしょう」
改元を担当する内閣府大臣官房総務課は「新元号の選定が進んでいるかどうかはわからない。選定手順もわからない」とのこと。
前出・石原氏の下で内閣内政審議室長として新元号制定の実務を担当し、後に元内閣官房副長官を務めた的場順三氏によれば「新元号制定の詳細は、マスコミに漏れてはならないトップシークレットで、上層部の限られた人間にしか知らされていなかった」と振り返る。
「天皇が崩御すると『明治天皇』『昭和天皇』となるように、元号は、諡(おくりな)となる高貴なもの。マスコミに候補がスクープされるようなことがあれば、その時点で使用できなくなります。そうなると、総理以下、内閣全体に迷惑をかける。我々が平成を準備する際も『絶対に外に漏れてはいけない』と、非常に神経を使いました」(的場氏)